こちらの記事では栄養素のエネルギーについて説明しています。
エネルギーとは何ぞや…参考になれば幸いです。
1| エネルギーとは
エネルギーは生命機能の維持や身体活動に利用され、その多くは最終的に熱として身体から放出されます。このため、エネルギー摂取量とエネルギー消費量及び身体への蓄積量は同じであると考えられています。
エネルギーの単位は主に cal や kcal と表記されます。
①エネルギー摂取量とエネルギー消費量
エネルギー摂取量とは私たちが食事から得られるエネルギーです。主に三大栄養素である炭水化物、脂質、タンパク質から供給されます。炭水化物とタンパク質は1ℊあたり4kcalのエネルギーを提供し、脂質は1ℊあたり9kcalを提供します。
エネルギー消費量とは主に※基礎代謝、食後の熱産生、身体活動の3つに分けられます。
※
基礎代謝:生命活動を維持するために必要な最低限のエネルギー量(全消費量の60%)
食後の熱産生:食後に体内で栄養素が分解される過程で発生するエネルギー量(全消費量の10%)
身体活動量:日常生活活動や運動での活動量(全消費量の30%)
エネルギーのバランスは上記の図のように表すことができます。
エネルギー摂取量とエネルギー消費量が等しいと体重は変わらない
エネルギー摂取量がエネルギー消費量を上回ると体重が増える
エネルギー消費量がエネルギー摂取量を上回ると体重が減る
②エネルギーの必要量
では、実際に私たちに必要なエネルギー量はどれくらいなのでしょうか?
成人の1日に必要なエネルギー量は、基礎代謝量と身体活動レベルで計算することができます。
推定エネルギー必要量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル |
「日本人の食事摂取基準」では性別、年齢、活動レベルに応じた推定エネルギー必要量が示されています。例えば、18~29歳の男性の場合、身体活動レベルが普通(Ⅱ)の場合で2650kcal/日が目安です。女性の場合は2000kcal/日となります。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
身体活動レベル | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ |
0~5(月) | 550 | 500 | ||||
6~8(月) | 650 | 600 | ||||
9~11(月) | 700 | 650 | ||||
1~2(歳) | 950 | 900 | ||||
3~5(歳) | 1,300 | 1,250 | ||||
6~7(歳) | 1,350 | 1,550 | 1,750 | 1,250 | 1,450 | 1,650 |
8~9(歳) | 1,600 | 1,850 | 2,100 | 1,500 | 1,700 | 1,900 |
10~11(歳) | 1,950 | 2,250 | 2,500 | 1,850 | 2,100 | 2,350 |
12~14(歳) | 2,300 | 2,600 | 2,900 | 2,150 | 2,400 | 2,700 |
15~17(歳) | 2,500 | 2,800 | 3,150 | 2,050 | 2,300 | 2,550 |
18~29(歳) | 2,300 | 2,650 | 3,050 | 1,700 | 2,000 | 2,300 |
30~49(歳) | 2,300 | 2,700 | 3,050 | 1,750 | 2,050 | 2,350 |
50~64(歳) | 2,200 | 2,600 | 2,950 | 1,650 | 1,950 | 2,250 |
65~74(歳) | 2,050 | 2,450 | 2,750 | 1,550 | 1,850 | 2,100 |
75以上(歳) | 1,800 | 2,100 | 1,400 | 1,650 | ||
妊婦(付加量)初期 中期 後期 | +50 +250 +450 | +50 +250 +450 | +50 +250 +450 | |||
授乳婦(付加量) | +350 | +350 | +350 |
身体活動レベルは、低い、ふつう、高いの三つのレベルとして、それぞれⅠ、Ⅱ、Ⅲで示してあります
身体活動レベルⅠは生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合。Ⅱは座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、通勤・買い物等での歩行、家事、軽いスポーツ、いずれかを含む場合。Ⅲは移動や立位の多い仕事への従事者、あるいはスポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合
しかしながら、これらの数値は個々の体格や生活スタイル、健康状態によって調整が必要となってきます!
2|基礎代謝とは
基礎代謝とは心臓を動かしたり、体温を維持したり等生命活動を維持するために必要な最低限のエネルギーのことで、1日の消費カロリーの60%を占めています。
このエネルギーは主に肝臓、脳、筋肉で消費され、この3器官のみで6割以上占めていると言われています。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
年齢(歳) | 基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日 | 参照体重(kg) | 基礎代謝量(kcal/日) | 基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日 | 参照体重(kg) | 基礎代謝量(kcal/日) |
1~2 | 61.0 | 11.5 | 700 | 59.7 | 11.0 | 660 |
3~5 | 54.8 | 16.5 | 900 | 52.2 | 16.1 | 840 |
6~7 | 44.3 | 22.2 | 980 | 41.9 | 21.9 | 920 |
8~9 | 40.8 | 28.0 | 1,140 | 38.3 | 27.4 | 1,050 |
10~11 | 37.4 | 35.6 | 1,330 | 34.8 | 36.3 | 1,260 |
12~14 | 31.0 | 49.0 | 1,520 | 29.6 | 47.5 | 1,410 |
15~17 | 27.0 | 59.7 | 1,610 | 25.3 | 51.9 | 1,310 |
18~29 | 23.7 | 64.5 | 1,530 | 22.1 | 50.3 | 1,110 |
30~49 | 22.5 | 68.1 | 1,530 | 21.9 | 53.0 | 1,160 |
50~64 | 21.8 | 68.0 | 1,480 | 20.7 | 53.8 | 1,110 |
65~74 | 21.6 | 65.0 | 1,400 | 20.7 | 52.1 | 1,080 |
75以上 | 21.5 | 59.6 | 1,280 | 20.7 | 48.8 | 1,010 |
上記に示す表で基礎代謝量の計算がすることができますが、個々の体格によっては誤差が生じることがあります。
3|まとめ
エネルギーについて説明させて頂きました。
このエネルギーの話、家計の話に似ているなと思っています。
エネルギー摂取量 → 給料
エネルギー消費量 → 浪費
基礎代謝 → 固定費
身体活動 → 変動費
貯金 → 体重
給料が家計に入り、毎月決まった額の固定費(家賃、光熱費、通信費)と変動費(食費、日用品、特別費)の浪費。浪費が多ければ貯金は減り、少なければ貯金は増える。
エネルギーが体に入り、基礎代謝量と身体活動でエネルギーを消費。エネルギー摂取量が消費量より多いと体重は増え、エネルギー摂取量が消費量より少ないと体重は減る。
最後とても緩いまとめとなってしまいましたが、エネルギーは栄養学的にはとても重要な話であるので、少しでも知識の役にたっていただければ幸いです。
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